2023年1月8日に東京・国立競技場で行われた第59回ラグビー大学選手権決勝戦、帝京大学vs早稲田大学の一戦を現地観戦してきました。
結果は73-20で帝京の勝利。2年連続の優勝を決めるとともに決勝戦での歴代最多得点を更新しています。
ラグビー大学選手権 帝京大が早稲田大に勝って優勝 2大会連続 #nhk_news https://t.co/j9peeIEXcG
— NHKニュース (@nhk_news) January 8, 2023
僕は今シーズンの大学ラグビーはいっさい観ていなかったのですが、
・日本一が決まる瞬間が観たい
・新国立競技場に行ってみたい
という二つの理由で足を運ぶことに。
いわゆるミーハーと呼ばれるものでございます。
なので、大学の勢力図や王者帝京の強さ等、まったく知識がない状態での観戦だったことをお伝えしておきます。
目次
初めての新国立競技場はデカかった。座席のカラーによって空席が目立たない笑
まずJR千駄ヶ谷駅から徒歩で国立競技場に向かったのですが、いやデカいっすね!!
これまで秩父宮や神宮球場に行く際に前を通ったことはありましたが、中に入ったことはなく。間近で見るとやはり迫力が違います。
場内はこんな感じ。
座席はバックスタンドの前の方だったのですが、とにかくすべてがデカいっす。
座席はコレ。
確かオリンピックの時期に「座席が狭い」と各所で言われていた覚えがありますが、実際にはそこまで狭くはなかったです。
あと、何席かごとにカラーを変えてあるので遠目からだと空席が目立ちません笑
そうこうしているうちに両チームのアップが始まります。
スクリーンではルール解説が。
スタメンが紹介され、
両校の入場です。
なお開始前に両校の校歌が流れるのですが、早稲田の校歌が流れた際に多くの方が立ち上がって腕を振っておりました。
恐らくOBの方だと思いますが、へえ〜、早稲田ってあんな感じなんですね〜。
詳しくないのでわかりませんが、独特の仲間意識みたいなものがあるのかもしれません。
一通りのセレモニーが終わるといよいよ試合開始です。
帝京が強すぎた。ワンマッチ限定ならリーグワンのチームともいい勝負できるんじゃない?
試合の感想ですが、あの、帝京大学さん、いくら何でも強すぎませんかね……。
申し上げたように僕は今シーズンの大学ラグビーに関しては知識ゼロで、両校がどんな感じで決勝にコマを進めたのかも知りません。
帝京は去年も優勝したのは覚えていますが、だからと言って今年も強いとは限らない。どちらが有利か、勝利予想はどちらに傾いているのか等はいっさい不明。
完全にフラットな状態での観戦だったわけです。
え? 何すかコレ?
いろいろなもんがバグりすぎちゃいますか?
大学選手権決勝史上最多得点?
これだけ強ければ全然おかしくないっすよね。
マジな話、今年の帝京ならワンマッチ限定&ピークさえ合わせればリーグワンのチームともいい勝負ができるのではないでしょうか。それこそ下位チーム相手なら勝てるかも……。
後半は帝京がトライを取るたびに場内からため息が漏れていましたが、それも仕方ない。「これは何かの間違いでは?」というくらい帝京の強さは際立っていました。
早稲田が奇襲でリードを奪うも、帝京はすぐに対応。フィジカル差でゴリゴリ攻める
まあ、早稲田も前半はがんばったんですけどね。
開始2分でいきなりトライを奪われても落ちることなくすぐに2つのトライを取り返して逆転に成功。後ろの座席の方が「早稲田ががんばってる」「もっと大差がつくと思ってたけど」とおっしゃっていましたが、僕もあの連続トライで勢いづくのでは? と思った次第です。
ただ、トライの取り方はどちらかといえば奇襲。
球出しを早めに、ラインを深く引いて長いパスを外に通す。
帝京のフィジカルのヤバさは開始直後のトライでわかったのですが、対する早稲田の作戦は極力コンタクトを避けてのスピード勝負、なるべく早めに外に回すものだったと思います。
そして、実際にその作戦は機能していました(開始直後は)。
帝京は早稲田のスピーディなパス回し、外展開のラグビーに戸惑い気味。そのつどディフェンスが遅れてゲインを切られるシーンが目立ちます。
ですが、それが続いたのも前半の中盤くらいまで。
強力FW陣の縦突進でディフェンスを崩され、スペースに走りこんでくる第3列にタックラーが引きずられたまま裏に出られる。で、そこからオフロードパスをつながれトライを献上。
正直、前半が終わった時点で「ああ、これは早稲田厳しいな」「どこかで流れを変えないと試合がぶっ壊れるぞ」と思ったことを覚えています。
生デクラークさんを観るために横浜キヤノンイーグルvsコベルコ神戸スティーラーズを現地観戦してきた。クソ寒かったけど楽しかったぞ
レベチなメンツと彼らを自在に走らせる司令塔。こんなの勝つに決まってるじゃん笑
そして後半。
帝京の怒涛の攻めに早稲田はまったく対応できません。
フィジカルモンスターに真ん中を割られ、巨漢WTBに外を走られトライを取られまくる。
帝京側は第3列とBKにレベチが各2人ずつ(?)いたと思うのですが、もう、ホントにすげえ。
1対1では歯が立たないレベチが次々とスペースから顔を出すせいで早稲田はどれだけがんばっても前で止めることができない。1人、2人引きずられてゲインを切られ、そのままゴリ押しor外に振られてジ・エンド、みたいな。
それこそ後半は「おかしいでしょ」「アイツがすごすぎるんだよな」「どうなってんだよオイ笑」とどれだけつぶやいたかわかりません笑
何となくですが、帝京はSOとSHがめちゃくちゃうまいのだと思います。
レベチなフィジカルモンスターの存在はもちろん、彼らを縦横無尽に走らせるためのパスワーク、状況判断が秀逸なのだろうと。
と思って調べてみると、SO高本幹也選手は大学No.1の司令塔、SH李錦寿選手は大阪朝鮮高校出身の有名選手だとか。2年生にも関わらず決勝戦でスタメンに起用されていることを考えれば能力の高さは容易に想像できます。
ズラッと揃ったフィジカルモンスターとそれをうまく機能させる大学No.1の司令塔と期待のSH。
これは勝つでしょというか、はっきり言って負ける要素がどこにも見当たらない。
帝京大学の最強っぷりは知識ゼロの僕が1試合観ただけでもわかるくらいの凄まじさでした。
「王者が評判通りの実力を発揮して勝利する」ことをはもっと賞賛されていい。確かにアンダードッグが勝つ方が盛り上がるけど
また、個人的に「王者が前評判通りの実力を発揮して勝利する」というのはもっと賞賛されていいと思っています。
上述の通り後半以降は帝京がトライを取るたびに場内からため息が漏れていたのですが、それでも攻撃の手を緩めず走りきったのはさすがとしか言いようがない。
あそこまで点差が開けば多少緩んでもおかしくないし、いつの間にかヒールになっているのも定番です。
いつかの夏の甲子園でも王者大阪桐蔭=ヒール、公立校の金足農業高等学校=正義という構図が成り立っていた覚えがありますが、その逆風の中で“淡々と”勝利をつかんだ大阪桐蔭はホントにすごかった。
特にメンタルや技術が安定しない学生スポーツはトッププロに比べて波乱が起きやすい。土壇場で自分を見失ってミスを連発することは珍しくありません。
その中で自分のやるべきことを黙々とやり、最後まで手を緩めず勝利に邁進した帝京大学の成熟度。ここはもっとクローズアップされてもいいのではないでしょうか。
漫画「スラムダンク」のようにアンダードックが王者に勝つ展開は確かに胸熱ですが、「実力通りの力を発揮して“普通に”勝つ王者」の成熟度も同じくらい偉大。
そういう意味でも帝京大学の優勝は文句なしに素晴らしかったです。
まあ、試合中は完全に「早稲田がんばれ」でしたが笑