日本vsサモア感想。確実性の高いプレーで日本が勝利。両チームともテストマッチから大幅な改善が見られた【2023.9.29W杯感想】

日本vsサモア感想。確実性の高いプレーで日本が勝利。両チームともテストマッチから大幅な改善が見られた【2023.9.29W杯感想】

開催中のラグビーW杯2023。Dグループの日本は9月29日に1次リーグ第3戦に出場、サモアに28-22で勝利し戦績を2勝1敗としています。


これでDグループ2位に浮上した日本は10月8日のアルゼンチン戦で1次リーグ突破を目指します。
 
なおアルゼンチンは30日にチリ代表との対戦が予定されており、勝利すれば再びDグループ2位に浮上する。戦前から言われていた通り日本にとっては次戦が1次リーグ突破の大一番となることが予想されます。
 

「予想通りアルゼンチン戦が天王山」ってホントか? サモア戦も結構際どかったぞ笑

日本時間朝4:00のキックオフとなったこの試合。
僕はリアルタイム視聴はできず、先日ようやく見逃し配信を観終わったところです。
 
上述の通り結果は28-22で日本が勝利。
10月8日のアルゼンチン戦が1次リーグ突破をかけた大一番になることが濃厚になりました。
 
とはいえ、今回のサモア戦も楽観視されていたわけではなく。
 
ランキングも13位の日本に対してサモアは12位。
試合前の予想アンケートでも「日本勝利50%、サモア勝利40%、引き分け10%」くらいだったと記憶しています。
 
その上、某ブックメーカーのオッズもサモア優勢と出ていたような……。
 
試合後に「予想通りアルゼンチン戦が天王山になったね」という声を山ほど目にしましたが「いや、ホントか?」と笑
後付けでドヤってるだけちゃうんか? とやや穿った見方になったことを報告します笑
 

どんな展開になるかは日本次第。サモアのラグビーに付き合わないことが大事だと…

僕は今回の試合、日本がどんな作戦を選ぶかが見どころだと思っていました。
 
日本vsサモア戦展望。アルゼンチンみたいに遅い展開を強いた方がよさげ? ラン勝負はギャンブル性が高すぎる
 
上記の予想記事で申し上げた通り試合展開は日本次第なところがある。
 
サモアの戦術は基本的にいつも同じ。野生味溢れるラグビーで勝負してくることが予想されます。
 
激しい当たりからフォロワーにフワッと浮かす、躊躇のないタックル、ゴリゴリ前に出る馬力、その他。
1人1人の運動能力が高くフィジカルもクッソ強い。
接点での自由度、アクロバティックさは目を見張るものがあります。
 
ただ、その反面ミスが多く全体的にプレーが軽いのも特徴です。
野生的なラン、味方が次々に顔を出すラグビーはド派手で見栄えもいいが、ここぞの場面で毎回ポロポロする。
 
そのため得点自体はそこまで伸びず、ペナルティが多発する大味な試合になりやすい。
 
 
今年7月のテストマッチで日本はサモアのラグビーに付き合ってしまい、両チームがハンドリングミスを連発する微妙な試合になりました。
 
それを踏まえると、この試合で日本が勝つにはサモアのラグビーに付き合わないことが大事。
 
スピード重視のつなぎのラグビーではなく確実性を優先するべき。
前戦でアルゼンチンがやったような遅い展開&ロースコア勝負に持ち込めれば日本が勝つ確率も高くなるのではないか? と。
 

確実性の高いプレーを選択した日本。でも、素早いパス出しを意識していたのは予想と違った

そして、実際それに近い内容だったのではないでしょうか。
 
FWはボールを持ったら味方を引き連れて近場で当たる。
BKは深く長いラインを引いて左右にボールを動かす。
大外へのロングパスや裏へのショートパントを駆使してサモアを後手に回らせる。
 
サモアのディフェンスはスピーディにまっすぐ突進してくるのが特徴ですが、イングランドほど組織的ではない。どちらかと言うと個人の技量に頼る部分が多く、そこが通用しなかった際のセカンドプランに乏しい印象。
 
日本はそこを逆手に取るやり方でオフェンスを機能させたと思います。
 
日本vsイングランド感想。ジョージ・フォードが天才過ぎた件。FWもがんばったしPGも100%成功。やるべきことはやれてたけど…
 
逆に予想と違っていた部分は日本が比較的素早いパス出しを意識していたこと。
 
先日のアルゼンチンは自チームのラインが形成されるのを待ってからの球出しを徹底しており、早い試合展開に持ち込みたいサモア相手にかなり効果を発揮しました。
 
日本もこれをやればいいのでは? と思っていたのですが、実際はむしろ逆。
ラインが浅かろうが距離が近かろうが球出しの早さを優先する。相手のディフェンスが整う前に味方にボールを持たせる方を選択しました。
 
僕はトライ数は両チーム2本前後と予想していましたが、結果は両チームとも3本ずつ。スピーディなパス出し、球回しを意識した分、得点、ペナルティともに増えた印象です。
 
もともと日本は細かいパス回し、左右にボールを散らした上での外勝負が得意なチームです。
無理して慣れないことをやるより、自分たちのプレーを貫く方がいいと判断したのかもしれませんね。
 
 
なお勝敗予想は25-20、20-15くらいで日本でした。
 

サモアのハンドリングが向上していたのは意外だった。アルゼンチン戦ではポロポロが酷かったのに

また、サモアのハンドリングミスがそこまで酷くなかったことも意外でした。
 
上述の通りサモアは野生味溢れるランと自由度の高いパス回しが得意なチームですが、その分ポロポロも多い。
 
極論、普通にディフェンスしていれば勝手にミスしてくれる。多少裏に出られても独走さえ許さなければマイボールになると言ってもいいくらい。
 
7月のテストマッチでのハンドリングの悪さ、アルゼンチン戦での決定力のなさはなかなかのものでした笑
 
 
ところがこの試合では近場で無茶な浮かしパスはせず、当たった選手は足をかいて前に出る→そのままラックを作る。
 
特に1人が退場になって以降はボールをポンポン手放す軽いプレーが激減、持ち前のフィジカルをフルに生かすラグビーが見られました。
 
一方の日本はサモアの開き直りによってバタバタさせられた印象です。自陣でこぼれ球を取ったところから無理にラン勝負を仕掛けてミスをする悪癖がちょいちょい顔を出しました。
 
ラン勝負に付き合った結果、ハンドリングミスが多発したテストマッチがよぎった瞬間です笑
 

スタッツからも日本がラン勝負に付き合わなかったことがわかる。齋藤直人と松田力也がよかった

試合のスタッツを見ると、
 
ボール支配率は
日本:44%、サモア:56%
 
ランは
日本:79、サモア:143
 
タックルは
日本:184、サモア:85
 
散々走られた割にボール支配率にはそこまで開きがない、タックル数は倍以上となっています。
 
これを見ても日本が(テストマッチの反省を踏まえて?)ラン勝負に付き合わなかったこと、サモアのランをことごとく防いでいたことがわかります。
 
流の代打出場となったSH齋藤直人、今大会キックが絶好調のSO松田力也両名が光った(FWががんばったことは大前提)試合だったなぁと。