日本vsサモア戦展望。アルゼンチンみたいに遅い展開を強いた方がよさげ? ラン勝負はギャンブル性が高すぎる【2023.9.29W杯予想】

日本vsサモア戦展望。アルゼンチンみたいに遅い展開を強いた方がよさげ? ラン勝負はギャンブル性が高すぎる【2023.9.29W杯予想】

開催中のラグビーW杯フランス大会。Dグループの日本は2023年9月29日(日本時間)にサモア戦が予定されています。
 
 
ここまで日本は1勝1敗の3位。
先日チリに71-0で勝利したイングランドが予選通過を確実にしたため残る1枠を日本、アルゼンチン、サモアが争う状況となりました。
 
また日本とサモアは今年7月のテストマッチでも対戦しており、その際は24-22でサモアが勝利しています。
 
 
というわけで今回も試合の展望を考えていくことにします。
 
 
ちなみに前回大会までは予選グループ各チーム一度ずつ中3日がありましたが、今大会から少し変わったみたいですね。
 
日程に余裕を持たせたことは素晴らしいですが、大会が間延びすることは若干の懸念材料です。
 
しかも日本の試合は今回も早朝4:00スタート。それもあってか、国内では野球やバスケ、サッカーほど話題になっていません。
 
4年前のラグビー熱を取り戻すためにも日本チームにはがんばってもらいたいですね。
 
日本がチリに快勝で勝ち点5を獲得。普通にやれば勝てると言われる中できっちり勝つのが日本ラグビーの進化ですよね
 

想定される試合展開は2パターン。7月のテストマッチの再現と先日のアルゼンチンvsサモア戦の踏襲

まず試合展開についてですが、今回は2パターン考えられると思っています。
 
一つ目は今年7月のテストマッチ、日本vsサモア戦の再現。
両チームがラン勝負に終始し、接点の部分でハンドリングミスが多発した試合です。
近場の浮かしパス、タックルを受けながらのオフロードパスを多用しつつ、ボールが手につかずにポロポロするシーンが目立ちました。
 
 
もう一つは比較的ゆっくりとした試合運びです。
先日のアルゼンチンvsサモア戦と似た流れで、ラック、モールで人数を余らせる→外展開というオーソドックスなもの。
 
前者の場合はそれなりに点が入って大雑把に30点前後の勝負、後者の場合は恐らくロースコアで、両チームとも1、2トライくらいの計20点弱の勝負になるのではないでしょうか。
 

野性味溢れるプレーが持ち味のサモア。その反面ミスが多く得点能力は高くない

サモアの印象としては、個人技を全面に出した野性味が持ち味のチーム。
 
1人1人のフィジカル、運動能力が高く、調子がいいときはどんどん勢いに乗る。
 
激しい当たりからのアクロバティックなパス、躊躇のないタックル、などなど。
ハイライト映像だけを観ると、「こんなチームにどうやって勝てばいいの?」と思うほどです。
 
その反面、全体的にプレーが軽くミスも多い。
野性的なラン、自由度の高いパスはド派手で見栄えもいいが、確実性は低い。
特に接点でのハンドリングミス、タックルを受けた際のポロポロはまあまあの頻度で発生します。
 
前回のアルゼンチン戦でもハンドリングミスでことごとくチャンスを潰し、後半までPG1本のみに抑えられています。
その上唯一のトライもランではなく近場のFW戦によるものでした。
 
フィジカルモンスターが縦横無尽に走り回る派手さはありますが、ミスの多さがそれをチャラにしてしまう。実は得点能力は高くないのが特徴です。
 

試合展開は日本次第。前回のラン勝負は慣れていない上に運要素が強い?

なので、どんな試合展開になるかは日本次第だと思います。
 
7月のテストマッチ同様、ラン勝負に付き合うか、アルゼンチンのようなポイント中心のゆったりしたラグビーを選択するか。
ここが見どころになるのではないでしょうか。
 
そして、僕はアルゼンチンvsサモア戦を踏襲する方がいいと思っています。
 
 
前者のラン勝負ですが、上述の通りミスが多発する大味な展開になりがちです。
 
サモアのディフェンスは躊躇のないタックル、1人目がズバーっと前に出てボールキャリアに襲い掛かるのが特徴です。
この辺はイングランドと共通していますが、イングランドほど組織的ではない。ギャップができようがお構いなし、とにかくスピード重視の詰め方です。
 
このやり方は凄まじいプレッシャーを相手に与える反面、横の動きには脆い。そこを攻略するには“ずらし”が有効になります。
コンタクトが発生する寸前に近場に走り込んだフォロワーにパスを浮かす、自ら半身ずらして当たる。
日本も前回のテストマッチでは開始直後からこのやり方で何度もゲインを切ることに成功しました。
 
 
ですが、いったん抜かれても簡単に諦めないのもサモアの長所です。
 
斜め後ろから容赦なく襲い掛かり、相手の足や腰に飛びついて動きを止める。
もはや裏に出られるのが慣れっこなのだと思いますが、あのディフェンスをよく80分間継続できるなと感心させられます笑
 
その点、日本は“ずらし”の攻撃に慣れていないのがありありと伝わってきました。
 
スピーディなプレッシャー、背後からのタックルでボールを落としまくり、裏に出てもそこからが続かない。
サモアのハンドリングミスから反撃に転じる際も焦って変な当たり方をするせいでこれまたポロポロしてしまう。
 
スピーディなラン&ハンドリングミスはサモアにとっては通常運転、日本はそれに付き合って同じようなミスを連発。
結果、両チームがよく走る割にトライ数が伸びない(日本1トライ、サモア3トライ)微妙な試合が爆誕しました笑
 
 
なお、前回の感想記事で「日本チームが“ずらし”の攻撃を選択した試合を観たことがない」と申し上げましたが、実際にはサモアとのテストマッチで試みてはいます。
 
日本vsイングランド感想。ジョージ・フォードが天才過ぎた件。FWもがんばったしPGも100%成功。やるべきことはやれてたけど…
 
うまくいかずに早々に諦めただけで。
 
 
 
ラン勝負は大味な試合になりやすい上に運要素も強い。
 
地面にボールが転がる分ペナルティも起きやすく、それこそテストマッチでのリーチ・マイケルのように退場者が出る可能性もある。
極論、ボールがどこにバウンドするか? タックルが相手の手に当たるか腰付近に当たるか? のような些細な違いが勝敗を分けることも考えられます。
 
ギャンブル性が高く、勝利が第一条件の試合でやるにはリスクが大きい作戦と言えそうです。
 

アルゼンチンのやり方を踏襲した方がいい? 遅い試合展開&ロースコア勝負でじわじわ加点する

確実性を上げる、必勝を期すならやはりアルゼンチンのやり方を踏襲するべきだと思います。
 
サモアの持ち味はミスをいとわない思い切りのよさ、スピーディで野性的なラグビーですが、アルゼンチンは試合展開を遅くすることでこれを封じました。
 
FWはボールを持ったら味方を引き連れて近場で当たる。
ポイントではラインが形成されるまでキープ。
 
BKは長めのパスを駆使して左右にボールを動かすことを意識。
深くラインを引き、後ろのプレイヤーはある程度流れるのもOK、外へのロングパスや裏へのキックを駆使しました。
 
 
また接点でサモアがミスをしても焦って攻撃しない。まずは落ち着いてしっかりと当たり、モールorラックを作って攻撃姿勢を整えるところから。
 
それでも激しいタックル、素早い詰めによってノックオンは起きましたが、日本と違ったのはそこに付き合わなかったこと。根気よく自分たちのペースを維持してロースコア勝負に持ち込むことに成功しています。
 
 
対するサモアは相手がなかなか反則をしない、マイボールを得られないことで徐々に焦れます。
 
ハンドリングミスの多さに加えて後半からはキック処理の甘さ、ラインアウトの精度の低さが表面化し、少ないチャンスをノックオンで潰す流れが加速します。
 
アルゼンチンはそれに乗じて敵陣でフェーズを重ねつつサモアのミスを誘発、PGでじわじわと加点していきます。
トライ数こそ1本ずつですが、明らかにアルゼンチンの方がやりたいことをやれていました。
 

懸念材料は前回失敗が目立ったラインアウト。逆にスクラムは大丈夫そう?

諸々を加味すると、日本はより確実性の高いゆっくりとした試合運びを選択すると予想します(アルゼンチンを参考に)。
 
 
懸念材料としては、イングランド戦でラインアウト失敗が目に付いたことでしょうか。
また、激しいタックルを受けた際にアルゼンチンほど落ち着いていられるかも疑問です。
 
ロースコア勝負に持ち込むには

  • 試合を落ち着かせる
  • サモアのスピーディなラグビーに付き合わない
  • プレーの確実性を上げる

ことが重要になります。
 
それにはFW陣のがんばりが大事ですが、前回のイングランド戦ではややバタバタしていた印象。
セットプレーの精度が落ちると試合が大味になりやすいことを考えると、ラインアウト失敗が目立ったのは少し心配です。
 
逆にスクラムはイングランド相手に一歩も引かず互角の勝負を展開しました。サモアもスクラムが強いチームですが、ここは期待していいのではないでしょうか。
 

勝敗予想は僅差で日本。20-15、25-20くらいの際どい勝負になるのでは?

  • 日本のラインアウトはアルゼンチンよりもやや落ちる
  • オフェンス面もバタバタしがち
  • SO松田力也のPGは好調
  • テストマッチでは14対15を長時間強いられた
  • 日本は中10日、サモアは中5日

何となくのイメージとしては、日本、サモアともに2トライ前後。
サモアのペナルティがより多くなることを加味して20-15、25-20くらいで日本の勝利を予想します。
 
たとえば、
日本:2T2G3PG
サモア:2T1G2PG
○日本23-18サモア×
みたいな感じ。
 
それこそ1トライ差、PG1本差くらいの僅差になるのではないかと。
 
日本としては、後半まで1トライ1ゴール差以上を維持できれば最高。トライを取られるにしても真ん中に行かせない、抜かれるとしても“外”を徹底することが大事です。
 
 
 
いや、この試合はホントにわからんですね。
サモアも4年前に比べてチームとしての成熟を感じるし。
 
うまくやれば勝てる相手だと思いますが、真逆の結果も十分あり得るのが……。
 
アルゼンチン戦での消耗が響くことを祈ります笑