2024年11月9日(日本時間10日)にラグビー日本代表が現地でフランス代表と対戦、12-52で敗戦を喫しています。
例によって僕はリアルタイムで観ることができず(朝5:10キックオフは無理w)、結果を知った上で録画を視聴しました。
そして下記の記事やSNS等を見ると、大敗続きの状況にファンの辛抱も限界に近付いている感じを受けます。
【#ラグビー】日本代表がフランスに大敗 期待感急降下「全て外国人にした方がいい」の声も|東スポWEB https://t.co/HOsWTHsvB3
— 東スポ (@tospo_prores) November 10, 2024
僕は以前からエディー・ジョーンズの再登板、“超速ラグビー”に懐疑的でしたが、世の中も徐々にエディーのラグビーに疑問を持ち始めている印象です。
もちろん「W杯で結果を出せばすべてOK」になるので何とも言えませんが。
目次
フィジカルバトルというより…。日本が怖いのは前半20分まで
まずエディーが言うには今回は「フィジカルで相手に対峙することができなかった」とのこと。
確かに接点で負けるシーンが多く、敵陣深く攻め込んでもターンオーバーや反則で何度もチャンスを潰しています。
よく言われる出足の遅さ、集散の遅れも要因の一つだと思います。
ただ、僕はむしろフランスの日本対策が機能したことが大きいと思っています。
日本の“超速”を防ぐには何より前で止めることが重要。
前回のオールブラックスもそうですが、「ボールキャリアがスピードに乗る前にスペースを潰して早めに倒す→複数人で囲んでボールを出させない」ディフェンスが徹底されていました。
日本19-64ニュージーランド。オールブラックスと同じ土俵で勝負して勝つのは難しい。“超速”ラグビーで失うものがデカすぎる気が…
しかも今回のフランスは1人目が“ボールを殺しにいく”意識が高い。
前で止めるのはもちろん、タックルした選手がボールに絡むまでの動作がめちゃくちゃスムーズ。たとえボールを奪えなくても球出しをワンテンポ遅らせることで日本にリズムを与えません。
それこそ出足を意識するあまりオフサイドを取られていたほど。
極論、日本が怖いのは前半20分まで。
それ以降は勝手に失速してくれる上に攻撃も単調になる。
最初の20分さえ制すればあとはどうにでもなるとすら思われていたのかもしれません。
「前半20分を互角以上の勝負を展開→すぐに足が止まって攻撃も単調に→後半からはグダグダタイムに突入」
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毎回これを繰り返しているうちに弱点がバレたというか。
世界中に弱点を晒しながら試合を重ねた結果、各国の日本対策が進んでしまった感じ。
フランスの点取りスタイルは日本をはるかに上回る
フランスもスピーディなパス回しと個人技を全面に出したスタイルで、これは日本の“超速”ラグビーと共通するものがあります。
というより、ラン中心の点取り合戦ならフランスの方が経験値も技術もはるかに上です。
ラックは縦に長く組むことで相手から極力ボールを遠ざける。
フルスロットルのパス回しは勝負どころのみに限定、FWで縦を突く際は確実性を重視する。
SHは当然ボールを“しっかり掴んで”“相手を確認して”からパスを出す。
“超速”にとらわれ過ぎてキャッチする前から放すことを考えている日本とはまったく違います。
前半の出足の早いディフェンスを含めてチームとしての意思疎通が感じられました。
前半終了間際に失速したフランス。何度も言うけど重要なのはメリハリだよね
ところが前半残り5分あたりでフランスはガクッと失速します。
そこからは日本のパス回しが機能し始め、何度か決定的なチャンスも生まれました。
フランスのラグビーは日本の“超速”と共通すると申し上げましたが、実はこういうムラっけの多さも似ています笑
「よかった点は、後半のアタック。フランス代表相手でもジャパンらしいアタックはできた。課題としては——ずっとこれからの課題になると思うんですけど——フィジカルと、80分間やるフィットネスは課題かなと」
会見概略です📝
日本代表、フランス代表戦大敗で見えた「習慣」作りの難しさ。
【ラグビー旬な一問一答】
(向風見也)https://t.co/mKMrctM3QC #ラグビー日本代表#フランス代表— 向 風見也 FUMIYA MUKAI ラグビーライター Rugbywriter (@rugbywriter_f) November 10, 2024
確かに後半は「お?」というアタックが何度もありました。
少しでも出足が鈍ると一気に攻め込む日本オフェンスの危険度を認識させることができたのではないでしょうか。
ほとんど希望が見えなかったオールブラックスに比べてフランスは多少付け入る隙がありました。
なので、やはり重要なのはメリハリ。
ペースアップする局面と落とす局面の切り替え、スタミナ配分をどれだけうまくやれるか。
「フィジカルと、80分間やるフィットネスが課題」と言っても“超速”を80分間続けるなどまず不可能。
アメリカ戦でもフィジー戦でも同じことを絶叫していますが、このラグビーにこだわるなら局面ごとの上げ下げ、ギアチェンジは必須です。
- 日本vsアメリカ戦感想。この相手には40点差をつけたかった。超速ラグビー、どうなんでしょうか?
- 日本vsフィジー感想。同じパス&ランのスタイルでもフィジーはメリハリがあった。超速ラグビーの参考になれば
実際、立ち上がりに“超速”を封じられたおかげで後半に余力を残せた側面もあるわけで。
フィットネス向上は大事ですが、(“超速”を継続するなら)メリハリも必須ですよってことで。
“超速”ラグビーの燃費の悪さ。散々走り回ってパスを出しまくって、負傷者まで出して2トライは割に合わんよねw
この試合で改めて思ったのが、“超速”ラグビーはやっぱり燃費が悪いということ。
上述の通り(フランスが失速した)後半から日本は敵陣で何度もチャンスを作っています。
ですが総トライ数は2本(うち1本はインターセプト)とまったく伸びていません。
これもいつものパターンというか、パスを回すうちにどこかでミスが出る、ハンドリングでポロッとやる等、“キワ”の部分でコントロールが利かなくなった結果です。
スタッツを見ても走った距離(Metres)はフランスの593に対して日本は791。パスの数(Passes)もフランス161に対して日本233といずれも大きく上回っています。
日本の攻撃がいかに非効率かがわかると思います。
必死にパスをつないで敵陣深く攻め込み、もう少しでトライというところでミス→タッチキックで大きく下がらされる→自陣のディフェンスからもう一度やり直し。
これを繰り返していれば心身ともに疲弊するのは当たり前だし今回は立川、タタフと負傷者も出てしまいました。
散々走り回ってパスを出しまくって、負傷者まで出してようやく2トライ……。
正直、このラグビーで結果を出すのは相当困難な気がするのですが。
もちろん長期的な視点で考えるべきなのは重々承知しております笑