開催中のラグビーW杯フランス大会。Dグループの日本は現地時間9月17日にイングランドと対戦、12-34で敗れて戦績を1勝1敗としています。
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— NHKニュース (@nhk_news) September 17, 2023
前回チリに勝利した日本が迎える第2戦目。対戦相手のイングランドは過去10戦全敗と日本にとっては天敵とも言えるチームです。
今回も前半は3本のPGを決めて9-13と僅差で折り返しますが、後半に入ると徐々にイングランドのペースに。
キックを中心に縦横無尽にボールを動かすイングランドについていけず計4トライを奪われての敗戦。
地力の差を見せつけられる結果となりました。
目次
勝敗予想は30-20、25-15くらいでイングランド。まあまあ的中したと言っていいっすか?笑
まず試合前に考えた展望は下記。
日本vsイングランド戦展望。厳しい試合になりそう。ロースコアで勝つしかない? 失点を20点以内に抑えて25点くらい取れれば
- 勝敗予想は30-20、25-15くらいでイングランド
- 日本が取れるとすればせいぜい20点、多くても25点
- なので、勝利するためには失点20点以内が絶対条件
- イングランドのスピーディなディフェンスをどう崩すかに注目
- 2022年のテストマッチでは外勝負を仕掛けたが、結果はいまいち
- イングランドに勝利したウェールズは“ずらし”をうまく使っていた
- ただ、これは日本のスタイルとはちょっと違う
- 正直、日本が勝つイメージが浮かびにくい
イングランドはキックとディフェンス中心のチームで、正確なハイパントと素早い詰めが持ち味。
自陣では極力反則を少なく、敵陣でペナルティを得れば高確率でPGを選択する。
とにかく粘り強く守って3点ずつ刻むスタイル。
大爆発はしないが、大崩れもしない堅実なラグビーを信条とする。
特にSOジョージ・フォードのキックは脅威。
前回のアルゼンチン戦ではドロップゴールを3本決めるなど27点すべてを1人で稼いでいる。
この選手がアルゼンチン戦と同様のパフォーマンスを見せた場合、日本が勝つのはほぼ不可能ではないか。
こうして見ると割とそれっぽいことを言っている気がします笑
得失点差、ジョージ・フォードのキック、イングランドのスピーディなディフェンス、その他。
前回に続いてまあまあ的中したということでよろしいでしょうか笑
イングランド34-12日本
起きたら日本負けてた。
・日本は多くて20点?
・勝つなら失点はそれ以下
・ペナルティを極力少なく
・松田力也はPG9割必須
・予想は35-20、30-15くらいでイングランド映像はまだですけど得点はだいたい予想通りですかね。
さすがにノートライだと勝つのは難しい…。#RWC2023 https://t.co/0we02su2ze— 玉川ジャンキーズ (@Junkiesrugby) September 18, 2023
ジョージ・フォードが天才過ぎた。尋常じゃないキックの精度。空中戦で完全にやられた
率直な感想ですが、とりあえず「ジョージ・フォード天才過ぎか」と。
はっきり言って今回はジョージ・フォードに負けたと思っています。
セルフジャッジやヘディング認定トライ等、「いや、それは…」というプレーもありましたが、ジョージ・フォードのすごさの前では小事。
あの(アルゼンチン戦と同等の)クオリティを出されたら日本はお手上げ。ガチの天才としか言いようがありません。
具体的にはもちろんキックの精度。
視野の広さやパスワークも賞賛されるジョージ・フォードですが、やはりキックは群を抜いています。アルゼンチン戦でのドロップゴール3本は間違いなく実力です。
何がすごいって、正確性とタイミングがとんでもない。
イングランドの生命線でもあるハイパントは味方が余裕を持って追いつける位置に正確に落とす。そのためキャッチする側は着地してから一瞬の間を置いてコンタクトに備えることができます。
また、ジャンプの際は相手に背中を向けることが徹底されており、必然的に有利な体勢でキャッチ→クリーンな球出しが可能になります。
この辺はイングランドのお家芸というか、チーム内で徹底されていました。
日本もSH流やSO松田のキックで対抗しましたが、残念ながらジョージ・フォードには遠く及ばない。確率としては五分五分くらいでしょうか。
一方、イングランドのハイパントは8割方成功していた印象。
空中戦では完全にイングランドに軍配が上がりました。
日本vsアルゼンチン戦展望。3試合で2トライしか許していないアルゼンチンをどう崩すか。レメキと松島の個人技に注目
嫌な位置に蹴り込むんですよねw あれだけ自在にやられるとキックのフェイクだけで足が止まる
そして、裏のスペースを狙う判断力、タイミングもずば抜けています。
敵陣深く蹴り込む際はFBとWTBの中間にバウンドさせる、フェアキャッチされないギリギリの位置で取らせる等、とにかくめんどくさい笑
ライン裏へのキックパスも狙っているかのように逆側にバウンドしてランナーの胸に収まる。
あれだけ自在に蹴られればディフェンス側も警戒を高めざるを得ません。
そのせいか、フォードがキックのフェイクを入れるだけでディフェンスは一瞬足が止まる。しかも本人は常に動きながらパスを受けるためになかなか間合いが詰まらない。
この試合のカギは「ジョージ・フォードに自由にプレーさせないこと」「オフェンスはフォードを狙って突進すること」だと言われていましたが、実際にそれが実行されたシーンはほとんどなかったように思います。
マジですげえっすよね。
尋常じゃないキックの精度に加えてパスをもらう前の動きがあまりに周到。
どれだけ素早くプレッシャーをかけても追いつく頃にはすべての準備を終えているという……。
まるで緋村剣心の飛天御剣流抜刀術。
「抜刀の瞬間に加速は完了している」でしたっけ?(笑)
繰り返しになりますが、ジョージ・フォードは掛け値なしの天才だと思いました。
日本がチリに快勝で勝ち点5を獲得。普通にやれば勝てると言われる中できっちり勝つのが日本ラグビーの進化ですよね
ちなみに日本チームはやるべきことをやっていたと思います。
- スクラムで押し負けない
- 接点で互角以上のファイト
- スピーディな詰め
- PGの成功率
イングランドに対抗するにはFWが重要と言われたその通りのパフォーマンスだったのではないでしょうか。
松田力也のPGも100%だったしね。
でも、ラインアウトの失敗はちょっと多かったかな?
攻撃が正直過ぎた。ウェールズがやった“ずらし”を効果的に使えれば
強いて言うなら攻撃が真っ正直過ぎたなと。
展望記事で申し上げた通りイングランドのディフェンスを攻略するには“ずらし”が有効。
コンタクトの瞬間に近場のフォロワーにパス、角度をつけて当たる等、ディフェンスの芯を外す。
思い切ってスペースを潰しにくるディフェンスはやや横の動きに対する脆さがあります。
今年8月のテストマッチではウェールズがここをうまく突いてイングランドを下しています。
一方、今回の日本は2022年のテストマッチ同様外勝負を選択しました。
細かいパスを左右に散らし、なるべく早く外のランナーにボールを持たせる。
前回と違っていたのはCTBからのゴロパントで裏に出ることくらい。基本は素早いパス回しで撹乱する作戦です。
そして案の定、うまくいかず。
確かに外に広いスペースはできるのですが、イングランドはそこの対応がめちゃくちゃうまい。
ボールキャリアを外3人でババーっと囲み、追い出すように走ってコースを塞ぐ。
多少のゲインは許しても致命的なランは許さない。
要するに外を攻められるのに慣れっこなのだと思いますが、ピンチの局面でもどこか余裕を感じさせました。
なので、日本としては中央、近場の当たり方にもう少し工夫がほしかった。
後半、アングルを変えた突進で裏に出るシーンが何度かありましたが、ああいうプレーをもっと積極的にやれていれば……。
まあ、日本はどちらかと言えば確実な球出しを重視するスタイルなのでアレですが。
結局ジョージ・フォードにやられたよね。キック処理の影響? で徐々に均衡が崩れ…
FW戦では互角以上、PGは100%成功。
スクラムの確実性も高かった。
フィジカルやスピード、選手個々の実力では負けていない。
3点刻みでついていく作戦も間違いではない。
申し上げたように日本はやるべきことをやれていたと思いますが、やはりジョージ・フォードが凄すぎました。
拮抗した時間帯にあれだけ正確なキックを連発されればどうしても疲労は蓄積する。
後半にノックオンでチャンスを潰したのも、徐々に均衡が崩れていったのもフォードのキックの影響が大きかったのではないでしょうか。
これで勝敗を1勝1敗とした日本の第3戦は日本時間29日のサモア戦です。
予選通過には残り2戦を絶対に勝たなければいけない状況となりましたが、展望はまた次回ということで。