日本がチリに快勝で勝ち点5を獲得。普通にやれば勝てると言われる中できっちり勝つのが日本ラグビーの進化ですよね【2023.9.10W杯感想】

日本がチリに快勝で勝ち点5を獲得。普通にやれば勝てると言われる中できっちり勝つのが日本ラグビーの進化ですよね【2023.9.10W杯感想】

開催中のラグビーW杯2023フランス大会。
Dグループの日本は9月9日(日本時間9月10日)にチリ代表と対戦し42-12で勝利。勝ち点4に(4トライ以上で得られる)BP1点を加えた計5点を獲得しています。


この試合は展望を考えたこともあって当日はTVの前であれやこれやと言いながら観戦しました。
 
日本vsチリ戦展望。普通にやれば勝てると予想。後半に地力の差が出るんじゃないですかね
 
というわけで、今回はこの日本vsチリ戦について想像通りだった点、違っていた点に触れつつ感想を言っていきたいと思います。


 

想像通りだった点。チリは“つなぎ”のチームで前半型。侮れない相手だけど、まあ大丈夫でしょ

まず、想像通りだった点は下記。

  • チリは2人目が勢いよく走り込む“つなぎ”のチーム
  • 前半はめっぽう強いがバテるのも早い
  • あまりキックは使わずラン中心の攻め
  • ハンドリングが悪く結構ポロポロする
  • ラインアウトの精度が低い
  • 日本にとっては普通にやれば勝てる相手
  • 決して侮れないけど、まあ大丈夫でしょ
  • 35-15、45-20くらいで勝つのでは?

チリは基本的に“つなぎ”のチームで、2人目3人目が勢いよく走り込むのが持ち味。深いラインからスペースめがけて思い切り走り込むスタイルはかなりの驚異になりそう。
 
ただ、その分バテるのも早い
 
しかもハンドリングミスが多くラインアウトの精度も低いために要所で相手にチャンスを与えるケースが目立つ。
 
恐らく日本にとっては普通にやれば勝てる相手。
たとえば35-15、45-20くらい?
仮に先制されても焦らずじっくりいけば必ず流れはくる。
 
だいたいこんな感じでございます。
 
 
中でもいきなり先制されてもバタバタせずにすぐに取り返したのはよかったです。
 
チリの前半の強さは想定内だったので僕は「全然大丈夫でしょ」と思いながら観ていましたが、直後に同点にできたのは本当に大きかったです。


ハンドリングの悪さ、ラインアウトの精度の低さはマジでそのまんま。
基礎レベルというか、根っこの部分で日本の方が一段上だったと思います。
 

最後まで集中を切らさず、むしろ後半開始直後に上げてきたのには驚いた

逆に想像と違っていた点は下記。

  • 後半10分で失速すると思ったが逆に上げてきた
  • 球際の強さ、対人の強さがあった
  • 最後まで集中力が切れなかった
  • 日本はPGを蹴らずにトライにこだわった

展望記事の通り僕はチリは後半開始〜10分くらいで失速すると踏んでいました。
 
過去の試合を観る限り、チリは後半開始直後にあからさまに動きが緩慢になる。
フォローが遅れてキャリアは孤立、ブレイクダウンではボールが手につかない。
全体的にプレーが雑になる印象です。
 
なので、日本としてはここで一気に決着をつけたい。
チリのプレーが稚拙になる時間帯に何本かトライを奪えばそのままガタガタになるのでは? と。


ところが後半が始まってもチリが崩れる気配はない。
FWを中心に動きは落ちているものの、相変わらず集中力は高いまま。
畳み掛けるどころか逆に追い上げを許してしまうという。
 
足を攣る選手が続出するなど後半はバテバテなのは明らかでしたが、結局最後まで集中が途切れることはなく。
この辺はかなり驚かされました。
 
淡白なチームカラー、性格的なものなどとほざいたことを全力で謝罪させていただきます笑
 

球際の強さ、対人の強さは想像以上。反則スレスレのプレーを躊躇なくやれるのはすごいよね

そして球際の強さ、対人の強さも思っていた以上でした。
 
特に密集でのボールの奪い合い、反則スレスレのラインをついてターンオーバーを狙いにくる姿勢はちょっとすごかったです。
 
正直、微妙なプレーも多々あったと思います。
解説者が「今のは横からに見えた」とコメントしたり、僕も「え? オーバーザトップじゃないの?」と思うシーンも散見されました。
 
ただ、レフェリーが流しているのでそこに文句を言う筋合いはない。あの躊躇のなさ、暗黙の了解を平気で超えてくる思い切りのよさは素直にすごいと思います。
 
 
逆に日本としては、密集サイドやタックル直後のラックで再三間を割られたのはよろしくない。
本来であれば日本がチリの密集サイドを狙うべきだと思っていたので、それを逆にやられたことは反省点かもしれません。
 

トライにこだわった日本。次戦以降を見据える意味でもいい選択だった

日本が(想像以上に)よかった点としては、やはりトライにこだわったこと。
 
 
申し上げたようにチリはハンドリングミスが多く後半バテ気味になる。
 
フェーズを重ねればどこかで反則をしてくれるはずで、そこでPGを狙えば自然と点は入る。
それこそ10点前後のビハインドで前半を折り返せば十分射程圏内。じっくり3点ずつ刻んでいけばいずれ逆転できると予想していました。
 
ところがこの日の日本はPGを選択することは一度もなく。敵陣真ん中付近でフリーキックを得てもあえてラインアウト→モールで勝負にいきます。
 
 
要するに次戦以降を見据えた試合運びというヤツ。
 
チリ相手に3点を刻むようではイングランドやアルゼンチンには歯が立たない。格下に力の差を見せつける意味でも、トライを取る癖をつける意味でもPGの選択は存在しない。
 
前半をリードで終えた時点(もっと前?)でトライにこだわると決めたのだと想像します。
 
 
僕はNo.8姫野和樹の負傷が伝えられた際に

  • 姫野抜きでもこの相手にならダブルスコア以上の点差で勝ちたい
  • イングランドやアルゼンチンと勝負するなら問題なくクリアせなアカン

と思いましたが、現場レベルではそれ以上の意思疎通があったのかもしれません。
 
 
 
とはいえ、ナイスゲーム。
勝利が最低ノルマと言われる中でその通りに勝利したのは普通にすごい。
 
この辺が日本ラグビーの進化なのだと思います。