ラグビーW杯フランス大会、Dグループの日本は2023年10月8日の第4戦でアルゼンチンと対戦、39-27で敗れ予選リーグでの敗退が決まりました。
【#ラグビーW杯 日本 2大会連続の決勝トーナメント進出ならず】
「選手もスタッフも犠牲を払ってここまできた。結果が出なくて残念」
試合後の #姫野和樹 主将のことばです。
アルゼンチンとの試合経過や試合後の選手たちの談話など余すところなく 👇 https://t.co/D5VS009PTM— NHKニュース (@nhk_news) October 8, 2023
ともに2勝1敗で並ぶ両チームの対戦でしたが、日本は追い上げ及ばず敗戦。残念ながら2大会連続の決勝トーナメント進出を逃す結果となっています。
僕もこの日はリアルタイム視聴し、最後まで熱戦に釘付けになった次第です。
というわけで、例によって試合の感想を言っていきたいと思います。
試合前の展望は下記↓
日本vsアルゼンチン戦展望。3試合で2トライしか許していないアルゼンチンをどう崩すか。レメキと松島の個人技に注目
目次
試合としてめちゃくちゃおもしろかった。両チームナイスゲーム
まず今回は試合としてめちゃくちゃおもしろかったです。
日本が負けてしまったのは残念ですが、ラグビー観戦としては大満足。めったにお目にかかれない(と思う)熱戦でした。
おまけにラフプレーによるギスギスもなく後味もすっきり。誰が観ても楽しめる試合だったと思います。
ついでに言うと、この試合が日曜の20:00(日本時間)に行われたことは本当に素晴らしい。個人的に2015年、2019年に勝るとも劣らない熱さを感じることができました。
あと、アルゼンチンのユニフォームがカッコよかったですね笑
オフェンスは満点、ディフェンスは赤点。松島幸太郎とレメキに注目してたけど…
具体的な感想ですが、僕の中では「オフェンスは満点、ディフェンスは赤点」という感じ。
攻撃面は理想的と言ってもいいくらいの出来でしたが、ディフェンスは一番ダメな取られ方。5トライはさすがにやられ過ぎでした。
まずよかったオフェンスについて。
展望記事で「日本は取れるとしても2トライ」「アルゼンチンのスピーディな詰め、刺さるタックルを攻略できるとは思えない」と申し上げましたが、結果は3トライ3ゴール。日本の攻撃は予想以上に機能しました。
特に外側であれだけボールを動かせたのは驚きです。
アルゼンチンのディフェンスはBKのラン勝負、個人技でかき回されると若干脆さがある。
なので、この試合で日本が勝つには外側のプレイヤーがどれだけ勝負できるかが重要。これまでの日本はどちらかといえば組織的な攻撃が中心でしたが、この試合に限ってはスピードスターに広いスペースを走らせる方が有利になるのではないか。
そういう意味で松島幸太郎とレメキ・ロマノ・ラヴァに注目していた次第です。
オフェンスはメンバー起用、パフォーマンスともに理想的だった。フィフィタの先発、ナイカブラのトライ
ですが、日本は僕の想定よりもさらに攻撃重視の布陣でこの試合に臨みました。
11番にシオサイア・フィフィタを入れ、勝負どころのインパクトプレイヤーとしてジョネ・ナイカブラを起用。これは本当にナイス采配だったと思います。
実際にフィフィタは力強い突破を何度も見せ、前半終了間際にはビッグゲインからラストパスを出す。途中出場のナイカブラもタックルを受けながらもライン際に飛び込むトライで流れを引き寄せます。
アルゼンチンを崩すには外勝負、個人技が重要という部分の役割を見事に果たしてくれました。
と同時に「日本がアルゼンチンのディフェンスを攻略するイメージが沸かない」などとほざいたことを全力で謝罪させていただきます笑
日本vsサモア感想。確実性の高いプレーで日本が勝利。両チームともテストマッチから大幅な改善が見られた
ダメダメだったディフェンス。アルゼンチンはスペースを与えると自由自在に走りまくるチーム
一方、ディフェンスはダメダメでした。
目も当てられないというか、オフェンスとは逆の意味で“見事に”やってしまった感。
何度か申し上げている通りアルゼンチンの攻撃を封じるにはスピーディな詰めが重要です。
イングランドが実行したように組織的な詰めで素早くスペースを潰して糞詰まりを起こさせること。
その結果、イングランドはアルゼンチンを1トライに抑えました。
日本がやるべきなのも当然これ。
アルゼンチンの選手はコンタクトの寸前に1、2回フェイクを入れるケースが多く、なおかつ外にスピードのあるランナーを擁する。
つまりスペースを与えるとそれだけ自由に走られる危険が増します。
それを防ぐためにはとにかく前で止める、複数人で素早くボールキャリアを潰すのがもっとも効果的です。
日本vsイングランド感想。ジョージ・フォードが天才過ぎた件。FWもがんばったしPGも100%成功。やるべきことはやれてたけど…
ところがこの日の日本はなかなか“前”で止めることができない。
素早くプレッシャーをかけるというよりギャップを作らないことを重視していた印象で、アルゼンチン側は余裕を持ってフェイクを入れ、広いスペースを自在に走ることができました。
解説者が「日本はいいディフェンスしてますよ」「前で止めていて素晴らしい」と再三言っていましたが、いや、そうか? と。どう見てもよろしくないでしょと。
ちょっと太鼓持ちが過ぎるんじゃないの? と思いながら眺めていたことをお伝えします。
あれだけ外のプレイヤーに走られまくって5トライも献上して、いいディフェンスもクソもないと思うのですが笑
2019年に比べてディフェンスは落ちてる気がする。スピーディで低いタックルが持ち味だったのは前回大会まで
現実問題、日本のディフェンスは2019年に比べて落ちていると思います。
スピーディで低いタックルが日本の持ち味というのは何度も耳にしましたが、それはあくまで前回大会まで。今回の代表に関してはむしろ弱点ですらあった気がします。
その証拠に日本は予選4試合でかなりのトライを奪われています。
チリ戦で2本、イングランド戦で4本、サモア戦で3本、アルゼンチン戦で5本。
日本戦の3本を除けば3試合で2トライしか許していないアルゼンチンとは雲泥の差です。
ルール改定によって上と下のダブルタックルがやりにくくなった側面もあるとは思いますが、それ以上にイングランドやアルゼンチンとは純粋なディフェンス力の差を感じました。
かつてサッカー日本代表の通訳を勤めたフローラン・ダバディ氏が試合後に日本の解説者に苦言を呈していたとのこと。
ダバディーさんがラグビーW杯中継の解説者に苦言「何の分析もない」「日本の弱点を視聴者に説明しない」#ラグビーワールドカップ #フローラン・ダバディhttps://t.co/KGuDDrKTi8
— 中日スポーツ (@chuspo) October 8, 2023
フランスのスポーツ新聞で日本代表を酷評しまくった解説者が誰なのか、どんな内容だったのかは不明ですが、あの試合を観て「日本のディフェンスが素晴らしい」と本気で言っていたのならちょっとキツいですね。
アルゼンチンにスペースを与えたらヤバいというのは過去の試合を観れば明白過ぎるくらい明白だったのに。
五郎丸歩氏の意見には興味がある。「大きな仕組み」というのは具体的に何を指してるの?
また試合後に五郎丸歩氏のこれ↓がちょろっと話題になりましたが、
今大会改めて感じたことは、選手やコーチ・スタッフの努力や犠牲心だけでは、ここが限界だということ。大きな仕組みを変えない限りこれ以上の発展は日本ラグビー界にはない。
— 五郎丸歩 (@Goro_15) October 9, 2023
「大きな仕組み」というのが具体的に何を意味しているのかには興味があります。
代表の強化体制を指しているのか、ジュニア世代からの育成に関することなのか。
批判や否定云々ではなく漠然とし過ぎていていまいちピンとこないのが本音です。
正直、僕は代表の強化に関してはこの上ない環境だと思っています。
下記によると2015年大会では160日の合宿、2019年大会では8ヶ月の準備期間。
ラグビー日本代表、充実の浦安合宿を打ち上げ! 地獄の特訓で準備期間の少なさの不安を払拭!! #ぴあアプリ #ぴあスポーツ https://t.co/n5Xvmenayy
— ぴあ(エンタメ情報アプリ) (@app_pia) June 30, 2023
今回は過去2大会に比べて日数の短さが懸念されていましたが、それでもここまで代表に注力してくれる競技が他にあるの? というくらいの充実度だと思います。
実際、テストマッチの日程に合わせてリーグを休止したり大幅に試合数を減らしたりできるのは企業が母体となっているラグビーならでは。
レギュラーシーズンが大きな収入源のプロ野球ではなかなかこうはいきません。
それこそ強豪国が揃う南半球との距離を考えれば代表チームとしてこれ以上何ができるの? というレベルではないでしょうか。
「代表強化」の名目で発足したサンウルブズも距離の関係で頓挫したしね。
仮にジュニア世代の育成? を指しているならより突っ込んだ話が聞きたいところ。
部活中心の問題点、一気通貫での強化体制構築のアイディア、などなど。
本人がどこまで考えて発言したのかはわかりませんが、ラグビー界の内側にいる人間が現状をどう感じているのかをぜひとも知りたいです。
野次馬根性としても笑