2023年5月13日に東京・秩父宮ラグビー場で行われたラグビーリーグワン2022-23のプレーオフ準決勝、横浜キヤノンイーグルスvs埼玉パナソニックワイルドナイツ戦を現地観戦してきました。
結果は51-20でワイルドナイツが勝利。前半は15-17と2点のリードを許しましたが、後半に5トライ4ゴールを含む大量36点を挙げて逆転に成功しています。
これによりワイルドナイツは同じく準決勝に勝利したクボタスピアーズ船橋・東京ベイと5月20日の決勝戦で対戦することが決定しました。
目次
- デクラークさんのおかげでキヤノンイーグルスの試合をたくさん(僕にしては)現地観戦した
- 雨が降ったり止んだり。大きいビニール袋を持参したおかげでカバンが濡れずに済んだ
- 10〜15点差前後でワイルドナイツ有利かな? と思ったけどここまで差がつくとは
- 出だしのキヤノンはよかった。デクラークさんの気合いと得意のモールで先制
- 2度目のTMOで流れが止まる。あのタイミングでの連続ドロップゴールは盛り上がったよね
- 田村優の10分間退場が痛かった。ワイルドナイツの牙城を崩すにはあの勢いを続けることが必須だったけど…
- TMOの連発について。誤審を防ぐことは大事だけど明らかにやりすぎ。試合プランがめちゃくちゃになる上に観ている側も興ざめする
- 白黒をはっきりさせるよりも試合の流れを優先しようぜ。TMOの時間制限、回数制限は絶対に必要
デクラークさんのおかげでキヤノンイーグルスの試合をたくさん(僕にしては)現地観戦した
南アフリカ代表SHファフ・デクラークの横浜キヤノンイーグルス加入が発表されたのが2022年7月。
2019年W杯での躍動を覚えていたこともあり、このニュースは個人的にかなりの衝撃でした。
そして2022年12月のシーズン開幕戦をウッキウキで現地観戦し、そこからキヤノンの試合に足を運ぶのは4回目になります。
生デクラークさんを観るために横浜キヤノンイーグルvsコベルコ神戸スティーラーズを現地観戦してきた。クソ寒かったけど楽しかったぞ
ラグビーを観るのは好きですが、実は現地観戦はそこまで多くない。
ところが今シーズンはデクラークさんのおかげでチケットを購入する機会が(僕にしては)大幅に増えました。
しかもデクラークさんは複数年契約(年数は不明)らしいので来年以降も日本でプレーすることは確実っぽい。
残念ながら準決勝で敗れてしまいましたが、来期もまたキヤノンにお世話になろうと思っております笑
雨が降ったり止んだり。大きいビニール袋を持参したおかげでカバンが濡れずに済んだ
まずこの日は雨が降ったり止んだりの微妙な天気で、なおかつチケットを購入したのが遅かったためにバックスタンドの端っこでの観戦となりました。
湿気が多くジメジメしていてカッパを着るとちょっと暑い。
はっきり言って観戦環境としてはいまいちです。
座席や足元も微妙に濡れています。
以前にも雨の中で観戦したことがあるのですが、その際はカッパは持参したけどカバンが雨ざらしという状況に。
で、周りの人がデカめのビニール袋を持ってきているのを見て「ああ、なるほど」と。
その経験を生かして今回は40リットルのゴミ袋を持参し、雨風から守ることに成功しました笑
東京サントリーサンゴリアスvsコベルコ神戸スティーラーズ戦現地観戦。神戸が予想外にがんばった。ボコラレルトオモッテタ
観客数は16237人。
普段のレギュラーシーズンが4、5000人程度なので、かなり上出来ではないかと。
10〜15点差前後でワイルドナイツ有利かな? と思ったけどここまで差がつくとは
申し上げたように試合は51-20でワイルドナイツがキヤノンを下したわけですが、正直ここまで点差がつくとは思いませんでした。
レギュラーシーズンでの直接対決や各試合のパフォーマンスを考えると両チームに大きな差はない。
前年に比べてワイルドナイツはディフェンスがやや落ち気味。
対するキヤノンはデクラークの加入により攻撃力がアップしている。
諸々を踏まえるとワイルドナイツは30〜35得点、キヤノンは15〜20得点くらいの試合になるのではないか。
ワイルドナイツ有利には違いないが、白熱するのは間違いなさそう。
だいたいこんな感じでイメージしておりました。
10〜15点差くらいでワイルドナイツが勝つと思うんですよね。
ラグビー・南ア代表デクラーク リーグワンPO準決勝へ強気発言「100%勝てる」(日テレNEWS)#Yahooニュースhttps://t.co/HrKr0pnedX
— 玉川ジャンキーズ (@Junkiesrugby) May 2, 2023
出だしのキヤノンはよかった。デクラークさんの気合いと得意のモールで先制
とりあえずキヤノンは調子自体はよかったと思います。
開始直後から前に出てプレッシャーをかけ、敵陣深くにグイグイ攻め込みます。
最初のドライビングモールでのトライなどはその典型。
ゴール前のラインアウトを1番に取らせ、そのまま相手の陣形が整う前に一気に押し込む。
この試合にかけるチームの意気込みが感じられる先制トライでした。
中でもデクラークの気合いはすごかった。
近めの連続攻撃からいきなり逆サイドに振ったり、意表を突くショートパントで裏に出たり。
ディフェンス面でも密集サイドから何回顔を出したか。
「え? 今の誰?」
「おお、デクラークか」
というタックルでワイルドナイツの攻撃を寸断し続けます。
20分すぎに2本目のトライを決めたときは冗談抜きで「これはこのままキヤノンが押し切るか?」と思ったほど。
デクラークの躍動と得意のモールが機能したことで流れは完全にキヤノンに傾いていました。
2度目のTMOで流れが止まる。あのタイミングでの連続ドロップゴールは盛り上がったよね
ところが26分のTMOによって微妙に流れが変わります。
数分間の中断により、それまで調子よく攻めていたキヤノンのリズムがプツッと途切れます。
実際、その直後に松田力也がPGを決めて追い上げた&32分のTMOが反則なしと判断されたことでよりワイルドナイツに流れがきた印象。
で、そこでドロップゴールを決める松田力也がすごい。
状況判断はもちろん、あの舞台、あの状況でドロップゴールを選択する度胸と余裕。やはりトップリーガーはモノが違うなと思わされました(自分と比べてどうする笑)。
一方、キヤノンのSO田村優もすぐさまドロップゴールでリードを広げます。
しかもこちらは松田力也よりも遠い距離からしっかりと狙いを定めて決めたもの。
いや、ホントにすごい。
自分ならあの状況でボールを持っても前に走るか味方を探す以外に選択肢がないですからね(だから自分と比べてどうする笑)。
もっと言うと、あのドロップゴール2連発は単純に盛り上がりました。
比較的珍しいプレーが続いたこと、ワイルドナイツに傾きかけていた流れを田村が食い止めたこと。
諸々の要因によって「これはわからんぞ」という空気が場内に充満しました。
田村優の10分間退場が痛かった。ワイルドナイツの牙城を崩すにはあの勢いを続けることが必須だったけど…
ただ、その田村優が前半終了間際に10分間の退場を食らったのが痛かった。
これまたTMOでハイタックルと判断されたわけですが、あの退場によってキヤノンは攻め手を失った感があります。
後半開始早々にトライを奪われ逆転を許す→10分すぎに再びマリカ・コロインベテにトライを奪われたあたりで相当キツくなる。
デクラークが必死にチームを鼓舞するものの流れは変わらず。17分にディラン・ライリーに「これは勝負ありか?」というトライを決められます。
もともとワイルドナイツは立ってプレーする意識の共有や松田力也のキック力を生かした固い試合運びが得意なチーム。どの時間帯でも満遍なく得点を挙げることができるバランスのよさが持ち味です。
そのワイルドナイツに対して勝負どころで田村優を欠いたのは本当に厳しい。
マリカ・コロインベテの絶好調の日に当たってしまったのも不運だったし、とにかく今回は“キヤノンの日ではなかった”なぁと。
TMOの連発について。誤審を防ぐことは大事だけど明らかにやりすぎ。試合プランがめちゃくちゃになる上に観ている側も興ざめする
そして、この日5度実施されたTMOについて。
僕は基本的にスポーツにおけるビデオ判定が嫌いなのですが、ここ最近のラグビーのTMOはちょっと過剰すぎると思います。
申し上げたようにこの試合では計5度のTMOが実施され、そのうち4度が前半に行われました。
さらに翌日のクボタスピアーズ船橋・東京ベイvs東京サントリーサンゴリアス戦では6度のTMOが実施され、それによって勝負が決したとのこと。
はっきり言ってこれはダメです。
マジでダメです。
ラグビーは疲労や身体的ダメージが勝敗に直結する競技。
いかに相手を疲労させるか、自分たちは力を使わずにいられるかが重要な要素になります。
特にFW中心のチームの場合、前半で相手を疲弊させて後半勝負!! という作戦も十分あり得ます。
なので、頻繁な試合中断は致命傷になりかねません。
誤審を防ぐことは大事ですが、ビデオ判定のために5回も6回も中断するのは明らかにやりすぎです。
特にキヤノンはモールが持ち味のチーム。
後半に強いのは当たり前で、前半の時点で4回も中断されてはその強みを発揮する余地もない。
三菱重工相模原ダイナボアーズvs横浜キヤノンイーグルスの相模原ダービーに行ってきた。まさかの2週連続でキヤノンの試合をw 後半に地力の差が出たかな
しかも中には「え? そこ?」というケースもある。
ラインアウトからのドライビングモールでトライが成立→ゴールキックの準備をしている最中に「TMOでーす」と。
何が? と思ったら、ラインアウトで反則があったかを確認すると。
いやいやいやいや。
それ、結構前のプレーじゃん。最初は流したじゃん。
そこまで蒸し返す必要あるの?
流れの中でOKだったらいいんじゃないの?
申し上げたようにああいう中断は攻めている側にとっては最悪です。リズムがプツッと途切れる上に相手に回復の時間を与えてしまう。
実際、今回の試合でもTMOによってキヤノンの流れが止まりました。
当然ですが、力が上の相手にアップセットを起こすには勢いや流れはめちゃくちゃ重要です。そこをわざわざ止めてまで白黒はっきりさせる必要があるの? と。
何度も中断されると観ている側も興ざめする。
鮮やかなパス回しからのトライで会場が沸いている最中にコールされるTMOほどガクッとくるものはありません。
せっかく日本のベスト4によるハイレベルな対戦なのにね。
白黒をはっきりさせるよりも試合の流れを優先しようぜ。TMOの時間制限、回数制限は絶対に必要
流大「ちょっとした反則をレフリーやアシスタントレフリーが見えていなくて、ゲームが流れているのであれば、僕は正直、止めて欲しくないです」
流大「僕たちがTMOをして欲しいと言っていても、レフリーの判断で流してくれたほうがゲームとしては流れる」
リーグワンプレーオフ激闘続きですね🏉
続々執筆予定です。
まずはこちらを🙇♂️注目のTMO判定は?
サンゴリアス流大が見解。【ラグビー旬な一問一答】(向風見也)https://t.co/GY1gtlPPsw #Yahooニュース#リーグワン準決勝— 向 風見也 FUMIYA MUKAI ラグビーライター Rugbywriter (@rugbywriter_f) May 14, 2023
ホントにこれなんですよね。
流れの中でOKならそのままで。
白黒キッチリつけることにこだわるよりもスムーズな試合運びを優先しようぜと。
これを言うと怒られるのかもしれませんが、僕は誤審も勝負の一部、グレーゾーンの中にこそ競技のおもしろさが詰まっていると思っています。
立川理道「自分たちのコントロール外。しっかりと受け入れ(判定で試合が止まる間に)次に何しないといけないのかを明確にする(のが大事)」
<リーグワン:東京ベイ24-18東京SG>◇14日◇準決勝◇東京・秩父宮ラグビー場◇観衆1万3065人
微妙なラスト1プレーの攻防が明暗を分けた。#東京サントリーサンゴリアス #クボタスピアーズ船橋・東京ベイ #rugbyjp #LeagueOnehttps://t.co/7MmLvU5fea
— 日刊スポーツ・ラグビー担当 (@nikkan_rugby) May 14, 2023
いや〜……。
さすがにビデオ判定を試合の一部とするのは本末転倒じゃないっすか?
それまでの積み重ね、作戦をめちゃくちゃにされる可能性があるものを受け入れるのは……。
ビデオ判定なんてやらないで済むならそれに越したことはないですからね。
そういう意味でも1回のTMOにかける時間制限と1試合の中で実施できる回数制限は絶対に必要。
コールするレフェリー側にも累積による何らかのリスクをかけるべき。
TMOの扱いは本当に考えたほうがいいと思いますね。
時間制限と回数制限は絶対必要、レフェリーも累積による何らかのリスクを負わないと。
【リーグワン】運命のTMO判定…流大「レフェリーの判断が正しい」立川理道「コントロール外」(日刊スポーツ)#Yahooニュースhttps://t.co/qRbrGghVx2
— 玉川ジャンキーズ (@Junkiesrugby) May 14, 2023
もっと言うと、設備をもう少し何とかしてほしい。
秩父宮ではデカいスクリーンで何度も映像をリピートしていますが、別角度からの映像はないんでしょうか?
判断を下すレフェリーが観客と同じ映像を見ているのは普通に問題だと思うのですが。
もちろん費用的に難しいのは容易に想像がつきますが。
そもそも1発退場になるようなプレーを肉眼で判断できないのはどうなのよ? と思ったり……。
とにかくここ最近はビデオ判定の連発によって肝心の臨場感やスピード感が失われていて残念です。
人間が判断することによる“生々しさ”もスポーツの一部だと個人的には思うんですけどね。