開催中の「ザ・ラグビーチャンピオンシップ2022」。
9月24日に最終第6節オールブラックスvsワラビーズ戦が行われ、40-14でオールブラックスが勝利。得失点差により同大会の優勝を決めています。
Job done. Now we wait…#NZLvAUS 🇳🇿🇦🇺 #TRC2022 pic.twitter.com/AQYnbsKD6A
— All Blacks (@AllBlacks) September 24, 2022
前節で劇的な逆転勝利を挙げたオールブラックスでしたが、最終節では打って変わって序盤から宿敵ワラビーズを圧倒。前半2トライ、後半3トライを含む計40得点を挙げ、見事2年連続8度目の優勝を飾りました。
ちなみに僕はこの試合をリアルタイムで視聴できず、先日ようやく後追いで視聴を終えたところです。
なので、これから申し上げる感想も結果を知った上でのもの。若干新鮮味に欠けることをお伝えしておきます(誰も気にしてない笑)。
目次
実は両チームには地力の差がある。普通にやればオールブラックス有利だと思ってたよ(後出し)
前節でラグビー史に残る(と言っても過言ではないほどの)大接戦を演じた両チーム。
ところが今回は打って変わってオールブラックスの圧勝という結果に。
ここまでのオールブラックスの苦戦を考えると、もしかしたら意外に思った方も多いのではないでしょうか。
とは言え、個人的にはそこまでの驚きはなく(後出し)。
もともと両チームには地力の差があると思っていて、前回も普通にやればオールブラックスがダブルスコアくらいで勝つのでは? と予想しておりました。
ただ、宿敵ワラビーズとの「ブレディスローカップ」ということもあり開始直後から両チームが冷静さを欠いていたのも明らか。会場の異様な雰囲気も影響してか、とてもじゃないが“普通”とはほど遠い状態でのプレーが続いていました。
オールブラックスがワラビーズに39-37で逆転勝利。ブレディスローカップ第1戦を制す
ですが、今回のオールブラックスは最初から全選手が地に足がついていた印象。
中でも12番ジョーディー・バレット、15番ボーデン・バレットはよく機能していました。特にジョーディーのCTBはフィジカルと気持ちの強さ、判断力の早さがよく活かされていたように思います。
FW陣も行き過ぎず、守り過ぎず。近場では時間をかけてボールをキープし、外側に大きく振った際は少ない人数で素早くはがす。前節と比べて基本的な部分で安定感がありました。
申し上げたように両チームはもともとの自力に差があり、オールブラックスは“普通にやれば”まず負けることはない。その普通がちょうどいい塩梅で実現できていたのが大きかったです。
明らかに入れ込み過ぎだったワラビーズ。激しいファイトでオールブラックスに遅いかかるも気合いが空回り…
対するワラビーズですが、こちらはちょっと入れ込み過ぎでしたね。
前回の負けが相当悔しかった&相当な意気込みで試合に臨んだのだと思いますが、それが完全に空回りしていました。
キックオフとともに猛ダッシュで走り込み激しいファイトを仕掛ける。
その後も早めのタックル、密集での強引なはがし等、開始直後からフルスロットルでオールブラックスに襲い掛かります。
ところが実際にはそこまで効果的なアクションはなく。
密集で明らかに行き過ぎだったり、ボールを持った選手が孤立したり。
確かに気合いは感じるのですが、いわゆる規律という面ではあまりよろしくない。ペナルティで相手にチャンスを与える→流れを引き渡してしまう悪循環が続きます。
僕も「これは飛ばし過ぎじゃないの?」と思って眺めていたのですが、案の定自陣PGで先制を許し、直後にWTBウィル・ジョーダンの独走でトライを献上。あっさりと試合の主導権を渡してしまいます。
また、この日はスクラムもよくなかった。前半早々のシンビン(これも入れ込み過ぎ)で数的不利に陥ったせいもあると思いますが、セットプレーであれだけペナルティを繰り返せば……。
メンタルが安定し、いつも通りのプレーを淡々と“こなす”オールブラックスvs気合いが空回りして制御が利かないワラビーズ。
自力の差(僕調べ)以上の大差がついたのも納得でございます。
ワラビーズは後半に露骨に足が止まる。接点の部分で少々淡白過ぎたかな
後半に入るとワラビーズは露骨に足が止まります。
特にFW陣は開始直後からのフルスロットルで体力を大幅に削られた印象。後半3分にいきなりトライを奪われましたが、あの時点で相当な疲れがあったと想像します。
で、それ以降は自陣での厳しいディフェンスを強いられ、タッチキックを蹴れない位置でのパス回しに終始。マイボールを確保しても体力が続かずスピードに乗る前に2人がかりで絡まれてしまう。
序盤の(制御の利かない)激しいファイト&長時間のディフェンスで体力を消費。それが攻撃面にも影響する最悪のパティーン。ワラビーズにとっては完全に“負け確”の流れでした。
これは僕の勝手な意見ですが、この試合のワラビーズは接点の部分で少々淡白過ぎた気がします。
相手FWの突進に対して極力人数をかけない、立ってプレーすることを意識していたのだと思いますが、そこがあまりに極端だったというか。相手ボールになりそうな密集を捨てて次に備えるのはいいのですが、さすがにもう少し粘れよと笑
せめてあと1、2秒球出しを遅らせていれば、あそこまでリズムに乗られることもなかったのでは?
てか、キックオフやハイパントではめちゃくちゃファイトするのに何でこっちは早々に諦めちゃうんだよww
後半からは集散自体が遅くなったせいでそこまでの極端さはなくなりましたが、アレも気合いが空回りした要因の一つだったのかもしれません。
しかも後半はオールブラックスにもだいぶほころびが見られたのがね……。
自陣の深い位置からBK展開→ジョーディー・バレットがキックをチャージされてトライを奪われたり。
ある程度点差がついたところでさっさと主力を下げたり。
ミスを重ねて攻め込まれ、終了間際のトライを許したり。
余裕ぶっこいて舐めプした結果、逆転を許した前回の教訓はどこにいったよ? と言いたくなるようなプレーも目に付いたのですが、この日のワラビーズにはそこに付け込むだけの体力が残っていません。
繰り返しになりますが、前半の飛ばし過ぎがとにかく痛かったなぁと。
オールブラックスの立て直しは素晴らしい。初戦の苦戦→戦略をガラッと変えて攻略。試合を重ねるごとに完成度を高めていく
逆にオールブラックスはさすがの立て直しです。
南アフリカ戦では初戦で10-26で敗戦(内容的には完敗)を喫するも、次戦ではブレークダウンを修正して勝利。
第3節ではアルゼンチンにホームでまさかの敗戦→2戦目では相手ディフェンスを完全に崩し完勝。
そして宿敵オーストラリアには初戦で散々苦しめられたものの、終了間際のトライで逆転勝利→今回の最終節ではほぼ何もさせずに圧勝するという。
ニュージーランドがアルゼンチンにリベンジ。計7トライ、53-3の快勝で前節の借りを返す
「初戦で苦戦→次戦で修正、攻略」を繰り返し、何だかんだで優勝してしまうのだからそこはやはり王者オールブラックス。
かつての安定感はみるかげもありませんが、試合を重ねるごとに完成度を増す&初戦の内容を受けて次戦では戦略をガラッと変えてくる柔軟性は文句なしに素晴らしい。
前回も申し上げましたが、相手をゴリゴリに蹂躙しまくるオールブラックスよりも一歩一歩前進する今のオールブラックスの方が僕の好みだったりします笑
しかし、このチームが10月に来日するってやヴぁいっすねww
せっかくだから現地観戦も考えてみようかな……。